朝晩は寒さを感じる日が増えてきました。園庭の赤楓の紅葉も一気に進み、今年も鮮やかで素晴らし姿を見せてくれています。葉っぱが落ちるまでのわずかな間しか見られない姿ですから、皆さんにも是非見て頂きたいと思います。
寒さと同時に今年は例年よりもインフルエンザの流行が早く訪れ、この後の発表会に向けて心配な日々が続いています。手洗い、うがい、湿度管理など基本的な対策とともに、健康観察と早めの対応が感染拡大を防ぎます。本人の体調のことだけでなく、集団生活をしている一員として、決して無理や安易な判断はせずに、病院受診や家庭保育などのご理解とご協力をお願い致します。
さて、発表会を目前に控え、今は日々クラス毎に練習に余念がありません。当日来場されるお客様に少しでも素敵な姿をご披露するため、子どもたちは一生懸命に取り組んでいます。自信のなさや照れなどが邪魔をして自分の殻をなかなか破れない子もいれば、見てもらうことに喜びを感じ、楽しそうに踊ったり演技をしたりする子もいます。それぞれの子どもたちがそれぞれの目的や課題を持ちながら取り組んでいます。人前が苦手な子にとっては本当に大変なチャレンジでしょう。しかし、その苦手なことにチャレンジすること、最後まで努力し続けることに大きな価値があります。最近は苦手なことや上手くいかないこと、大変なことを避けて、やりたいことや好きなことにひたすら取り組むことが良しとされる時代になりつつあります。子どもが嫌だと思うことやストレスを溜めることは成長にとって良くないこととして認識されてしまっているからです。
しかし、私はそれは大きな勘違いだと思っています。人間は小さな頃から必ず何かしらのストレスを感じながら、それを乗り越えたり我慢したりしながら成長していくものです。小さな頃から小さなストレスを何度も乗り越え、成長とともに徐々に高く大きくなっていく壁を乗り越えていく経験が、社会に出た時の生きる力や逞しさとなります。最近はストレス耐性が低く、心が脆い人が増えてきました。ストレスの多い世の中に変化したということもあるかもしれませんが、それと同時に必要なストレス耐性、レジリエンス(困難や逆境の中でも、立ち上がって前に進もうとする力や柔軟性)を身につけないまま年齢だけを積み重ねてきている人が増えていることも大きな一因ではないかと思っています。今、自分の問題点をどう分析するのか、原因は何か、どうしたらその問題を克服できるのか、解決できるのか、そんな事を考え、向き合う経験が少なければ、当然自分がどうしていいか分からずに追い込まれる一方で、簡単に現実から逃げる選択をしてしまうのも頷けます。人間ですから落ち込んだり心が折れたりする時は必ずあります。しかし、大切なのはそこから早く立ち上がり、再び前に進もうとすることができる力、最後までやり切る力、物事を柔軟に考える柔軟性です。そのレジリエンスの力を年齢とともにしっかりと育てていくことが、子どもたちの本当の将来の幸せにつながるものと私たちは信じています。
日々の生活や行事など、園生活の中には様々な出来事があります。楽しいことやうれしいことから辛いことや悲しいことまで本当に色々な事があるはずです。しかし、それら全てが大切な経験である事と信じて、今はとにかく目の前の出来事に一生懸命取り組んでほしいと思います。今年の発表会も、それぞれの子どもたちにとって実り多い機会となる事を願っています。
園長 藤本 志磨
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