夏の暑さが嘘だったかのように、10月に入ってからは日ごとに気温が下がり、あっという間に秋から寒い冬へと移り変わりそうな今日この頃です。
幼稚園では、無事に運動会が終わり、次は12月の発表会に向けて、職員・子ども達が各クラス一生懸命練習を始めております。運動会とは打って変わって、お遊戯・劇という、演技力やリズム感、記憶力などが必要となる発表会では、また新たな才能の片鱗を見せてくれる子どもたちが出てくるだろう、と楽しみにしております。
その一方で、発表会に限らず、青葉幼稚園の2学期には沢山の行事やカリキュラムがあり、人には得意不得意がありますので、活動によって気の進まない子ども達もいます。その姿を見ていて、可哀想に感じてしまうこともあります。しかし、その経験こそが、逞しい大人になるために必要な経験でもあると感じています。
私がよく勉強させていただいている、埼玉県のとある園長先生はこのように仰っていました。「保護者は勿論、先生も子どもの幸せを願う。幸せになってほしい、幸せでいてほしい。でも、その幸せの感じ方を考えてほしい。転ばないようにすること、嫌なことから守る事。そうして守られた子どもの笑顔に幸せを感じるのではなく、(物理的にも、経験的にも)転んでも起き上がろうとすること、その頑張っている姿に幸せを感じてほしい」
これは、前回私が8.9月号で書かせていただいた「困難(壁)を乗り越える力」にも繋がっていると感じています。
勿論、私たち大人が事前に守らなければいけない場面、止めなければいけない場面もたくさんあります。大ケガをしないように、深い傷がつかないように守るのが、大人の役目であることも多くあります。しかし、それだけでは本当の子どもの成長には物足りないとも感じています。時には転ばないように、失敗しないように手を差し出すのではなく、転んでからどのように手を差し伸べるか、失敗してからどのようにフォローするか。一歩先を見据えて、適切な道しるべを作ってあげる。この経験が、子ども達の成長を加速させ、立派な大人へと導いてくれると考えています。
あと一か月先にはなりますが、12月の発表会では練習以上の力を発揮できる子もいれば、セリフが飛んでしまう子、振り付けを間違える子、緊張から涙する子など、様々なことが起きると思います。大人や本人が望んでいる結果にならないことがあるかもしれません。しかし、子ども達はそれでも人前に立ち、自分なりに最後までやり抜くはずです。それが発表会の意義の一つでもあると考えています。保護者の皆様には、できなかったこと、失敗したことではなく、その子それぞれの頑張りや成長に幸せを感じ、結果だけではなく「過程」を褒められるように、発表会までの1か月、お子さまの成長を見守っていただけますと幸いです。
最後になりますが、素敵な発表会になるよう、子ども達はもちろん、職員も練習や衣装、壁面の準備など、一生懸命頑張って参ります。是非、温かい心で楽しみにしていただけますと幸いです。
総務主任 藤本 利樹